動物の地震前の行動変化について
動物の地震前の行動変化とは?
地震前には、電磁波やラドンガスの放出など、様々な物理・化学現象の異常が生じることが報告されています。一方、動物の行動が地震前に変化するという現象は古くから知られています。これらの「地震前兆的行動」は、地震発生前に地殻に応力が加わることで発生する物理・化学現象をストレス刺激として感知したために生ずると考えられています。
これまでの研究により、地震の1週間~数週間前に搾乳牛の乳量が低下することが明らかになり、「東日本大震災」の約1週間前にも乳量の減少が確認されています(詳しくは論文紹介から)。また、このような地震前兆として現れる乳量の変化は、地面から放射される非常に低い周波数の電磁波(ULF / ELF)の影響を受けたことによるものである可能性もこれまでの研究から示されています。
動物を使用して地震予測を行うためには、日々の観測データの定量的な指標が必要になります。乳量は毎日記録されているデータのひとつです。また乳牛を飼育する牧場は日本各地に存在するため、このようなデータを毎日集積してモニタリングするシステムを構築できれば、いつ、どこで、どの程度の規模の地震が発生するかを予測する判断材料の一つになると考えられます。
地震予兆研究センターでは現在、北海道から兵庫県まで、全国12ヶ所の協力牧場の乳量データを常時観測し、解析を行っています。
今後も全国各地に協力牧場数を拡充し、モニタリングの範囲を広げていきたいと思っております。搾乳管理ソフトを使用して個体別の搾乳データを記録している牧場をご紹介いただける方 、もしくは牧場主の方は、お問い合わせページよりご連絡いただけますと幸いです。
地震前に乳量の変化が現れた事例
石川県能登地方での事例
発生日時:2023年5月5日 14時42分
震央地名:石川県能登地方
深さ:13km
規模:M6.5
最大震度:6強
この地震の約2〜3週間前に長野県の牧場で乳量減少が現れていました。下図参照。画像クリックで大きな図で確認できます。
このデータを見ると、5月5日の地震発生から19日前に長野県松本の牧場にて通常の乳量範囲より大きく減少していることが分かります。
千葉県東方沖での事例
発生日時:2023年5月26日 19時03分
震央地名:千葉県東方沖
深さ:50km
規模:M6.2
最大震度:5弱
この地震の約2〜3週間前に千葉県の牧場で乳量減少が現れていました。下図参照。画像クリックで大きな図で確認できます。
このデータを見ると、能登地方の事例と同様に、5月26日の地震発生から19日前の5月7日から8日にかけて千葉県旭といすみの牧場にて通常の乳量範囲より大きく減少していることが分かります。