開催報告 地域防災力向上シンポジウム:神戸会場

記述:八木下重義(一般社団法人地震予兆研究センター センター長)

~東日本大震災から6年 首都直下・南海トラフ予兆を目指して【地域防災力向上シンポジウム神戸会場】~
2017年3月8日・神戸国際会議場 メインホール

阪神淡路大震災から22年。東日本大震災から6年。
そして昨年は熊本地震、鳥取地震、福島沖地震等、2015年に比較すると2016年は約3.5倍も地震が発生。いまや、日本では「いつ・どこで」大きな地震が発生してもおかしくない状況と言えます。

地震予兆把握研究が飛躍的に成果をあげています。
しかしながら、大地震の予兆が事前に把握できたとしても、地域や企業、自治体が、効果的に活用しなくては意味がありません。

阪神淡路大震災(1995年1月17日・M7.3・死者行方不明者 6437人・負傷者 43,792人)では、日頃から消防団を中心に、行政機関と「住民による自主防災組織」との緊密な連携があった淡路島の北淡町(震度7)では、激震地であったにもかかわらず、被害は最小限に抑えられました。

これは、消防、警察、自衛隊などが本格的に機能する前段階などにおいては、住民自らが主役となって防災活動を行うことの重要性を現しています。
災害による被害を最小限にするためには、「地震予兆把握」だけではなく、それを活用する「地域・企業」の日頃からの取り組みが重要となります。

「地震対策」と「地震予兆把握」は、車の両輪のように両方とも連携して進めるべきで、どちらかだけでは万全ではない考えております。

そのような趣旨の元、様々な分野の研究者にご意見を頂きました。

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15:10~15:40 基調講演 室﨑益輝(兵庫県立大学防災教育研究センター長)
(講演要旨)
現在の「被害想定」は極めて「いい加減」・・被害想定の限界や誤差を知ることが重要。
・ハザードだけでなくバルナラビリティに目を向ける。
・量的な予測だけでなく質的な予測も怠らない
 (1)量的予測の問題
   科学はまだまだ未熟・・想定結果には大きな誤差
 (2)質的予測の問題
   災害は進化する・・「経験主義」の罠にはまらない、
   未知の災害を見極めること

巨大災害時には、個々の被災自治体の力だけではどうにもならない・・多様な連携が必要
       要請主義からの脱皮
       支援と受援の態勢構築
   地域や立場を超えて、連携し協働する
       垂直連携・・国や府県と
       水平連携・・姉妹都市と
       多層連携・・NPOや企業と
    対口支援、スクラム支援、協定支援など

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15:50~18:00 シンポジウム・ディスカッション

■八木下重義(一般社団法人地震予兆研究センター長)
(発言要旨)
一般社団法人地震予兆研究センターは、地震予知はしていない。
・地震予知→当てることが目的(外さないためにあいまいな情報)→営利目的/数ヶ月以内
・地震予兆把握→観測された事実伝達(異常値が観測された場合に、過去の地震情報を発表)→非営利/7日間以内
一般社団法人地震予兆研究センターは、「異常値が観測された場合にその事実」を、地震発生前に公表する組織。地殻変動・水位観測・合成開口レーダーなどの様々なIoTデータで、異常な値が観測された場合に同様の際に「過去発生している地震」を参考情報として公表。
様々なビックデータを解析し、地震予兆情報を自動配信する人工知能「ISACO」を開発中。

■五島大亮(神戸市会議員)
(発言要旨)
高校2年生時に阪神淡路大震災に被災。その経験から現在の神戸市の防災対策を紹介。
津波対策事業
・平成23年3月11日、東日本大震災により甚大な津波被害
・同年9月、中央防災会議※において、下記方針が公表
・平成24年8月、内閣府※が「南海トラフ巨大地震の想定地震津波」公表
  ※内閣府「南海トラフの巨大地震モデル検討会」
・平成26年2月、兵庫県が「南海トラフ巨大地震の津波浸水想定」公表
・平成27年9月、神戸市が「神戸港南海トラフ巨大地震に伴う津波対策計画」公表

■畑山満則(京都大学防災研究所 巨大災害研究センター教授)
(発言要旨)
ベストエフォート型災害対応の実現にむけて
・モードチェンジの必要性
 安全を確保する行動・生き残るための行動
 行政としては責任を持てない計画は作れない地域防災のために使える情報は何かを考える
・Twitterが役立った事例は,次の災害でも起きるのか?
・シミュレーションから生まれた提案:ツナミスト

■森川 薫(元摂津市長、NPO法人地震予知ネット代表)
摂津市長時代に阪神淡路大震災を経験し、そこから地震予知を目指す自主グループを結成し、地下水位の観測を始めた。

■高橋実芳子(NPO兵庫県防災士会理事、神戸市東灘消防団員、神戸クロスロード研究会、NPO神戸の絆2005)
神戸市が実施している「市民救命講習会」に参加。インストラクターまでの講習を受講し、神戸市の外郭団体、神戸市防災安全公社でインストラクターとして約15年ほど神戸市内で活動をさせていただきました。
兵庫県より委託事業を受け「800校区WS支援制度」として、兵庫県内の小学校744校に対して自主防災組織への支援をする活動等を行って居る。<

■熊谷行裕(株式会社新興技術研究所代表)
父が開発した電波ノイズを観測する「逆ラジオ」を使用して地震予知研究を進めている。


当日の資料は下記よりダウンロードが可能です。
なお、ご提供する資料は、転送、複写、転載、引用、翻訳、要約、改変その他の方法により、私的利用の範囲を超えて使用することはできません。
        
室﨑益輝(兵庫県立大学防災教育研究センター長)

工学博士(京都大学)。神戸大学都市安全研究センター教授、総務省消防庁消防大学校消防研究センター所長、関西学院大学総合政策学部教授、災害復興制度研究所長などを経て、兵庫県立大学特任教授に就任。
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長、神戸大学名誉教授。
八木下重義(一般社団法人地震予兆研究センター長)

世界480地点のInternational GNNSや国内1380地点の電子基準点データ、更にESA(欧州宇宙機関)が運用する合成開口レーダー衛星「SENTINEL-1A」等のデータ解析により地殻変動を解析。
過去発生したM6以上の地震発生前の地殻変動値と照合することによって、地震発生前の通常とは違う地殻変動を解析。
東日本大震災は1か月以上前から異常な地殻変動を捕捉。

五島大亮(神戸市会議員)

高校2年生時に阪神淡路大震災に被災、防災減災の観点からの市政活動に取り組んでおられ 神戸市議会都市防災委員会 副委員長/神戸市北消防団山田支団鈴蘭台分団員としての立場から、地域防災の重要性と活性化について意見を取りまとめて頂きます。
兵庫県立神戸商科大学商経学部 (現兵庫県立大学)卒。五島公認会計士事務所代表
祖父は元衆議院議員の五島虎雄氏。
畑山満則(京都大学防災研究所 巨大災害研究センター教授)

阪神淡路大震災時、神戸市長田区役所においてGISを用いた倒壊家屋撤去受付支援活動に参加。
GISを用いた災害対応システムの研究:市町村レベルの災害対応システムの開発と実装、災害直後から計測技術の開発。
【災害対応】阪神淡路大震災(神戸市長田区)、中越地震、東日本大震災、能登半島地震等。地域防災活動への情報システムの導入:神戸市東灘区呉田地区、長田小学校地区、高知県黒潮町等
森川 薫(元摂津市長、NPO法人地震予知ネット代表)

摂津市長在任中に発生した阪神淡路大震災への対応や、20年以上に渡る観測井解析による地震事前把握解析を紹介。
日本大学理工学部経営工学科土木専攻卒。社会人になってからすぐ地元摂津市消防団に入団、消防庁長官表彰を受ける。
摂津青年会議所を立ち上げ、5代目理事長、三宅小学校PTA会長、摂津市商工会専務、摂津市長4期16年等を務める。
高橋実芳子(NPO兵庫県防災士会理事、神戸市東灘消防団員、神戸クロスロード研究会、NPO神戸の絆2005)

阪神大震災を神戸で経験し、それをきっかけに神戸市東灘消防団に入団。
平成20年には、「第14回全国女性消防団員活性化北海道大会」で「災害に強い街づくり」について発表し、その後、神戸クロスロード研究会で東北の被災地へ、NPO神戸の絆2005では熊本の避難所へ行くなど災害現場を体験することから見えてくる防災を学び、女性の視点から防災講義、ワークショップを中心に幅広く活動されている。
熊谷行裕(株式会社新興技術研究所代表)

断層同士の圧力によって地震発生前に生じる「電磁波」を全国約100ヶ所のノイズ観測器(逆ラジオ)で観測し「くるかも」サイトで会員に情報を提供中。
2000年に電磁波による地震予知装置(当時くるぞー君)を開発し、以後17年に渡り装置のPR、装置の改良、予知実績の積み上げと予知精度の向上に携わる。